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半導体検査装置EDA設備投資関連読了 約3公開 2026年6月19日

イノテック9880・東証プライム

イノテックは、半導体の『検査装置』『設計ソフト』『組込みシステム』を手がける東証プライム企業。2026年3月期は売上467.4億円(前期比+11.3%)、営業利益31.1億円(同+64.7%)と大幅増益となった。性格の異なる3事業がほぼ同規模で並ぶポートフォリオ型が特徴。

パッと見でわかる

半導体の『検査装置』『設計ソフト』『組込みシステム』を手がける、性格の異なる3事業がほぼ同規模で並ぶポートフォリオ型の技術企業(1987年設立・横浜)。

売上高 FY2026/3

467億円

前期比 +11.3%

営業利益

31.1億円

+64.7%

営業利益率

6.7%

前期 4.5%

テスト事業 売上

184.6億円

+23.2%

利益構造
検査装置・設計ソフト・組込みの3事業がほぼ同規模。なお純利益は固定資産売却益29億円(一過性)で大きく膨らんだ点に注意。
なぜ今
生成AI・半導体投資を背景に、テストソリューション事業が伸長。

① どんな会社か

イノテックは、半導体に関わる3つの事業を束ねる会社。1987年設立、横浜市に本社を置く東証プライム企業で、連結従業員は約1,620名(同社開示)。もともとは商社として始まり、買収を重ねて自社製品を持つメーカーへと姿を変えてきた。

3つの事業は、半導体の検査装置を作る『テストソリューション』、設計ソフト(EDA)の販売と設計支援を行う『半導体設計関連』、組込みシステムや車載ソフト検証・決済などの『システム・サービス』。同社は『3つの事業がだいたい同じぐらいの規模』と説明している(ログミー報道)。

事業構造:商社から自社製品メーカーへ
  1. 1
    商社として創業(半導体設計ソフトの販売が源流)
  2. 2
    買収で自社製品を取り込む(台STAr・ガイオ・レグラス等)
  3. 3
    テスト/設計/組込みの3事業に集約(ほぼ同規模)
  4. 4
    半導体メーカー・ファウンドリ・自動車メーカーへ供給

出典:イノテック 公式IR・ログミーFinance説明会を基にした概念図。

3つの事業セグメント
  • テストソリューション:半導体テスター・プローブカード等の検査装置(売上184.6億円・前期比+23.2%、2026年3月期)
  • 半導体設計関連:EDA設計ソフトの販売と設計支援。ライセンス制で安定収益(創業来の主力)
  • システム・サービス:組込みボード・車載ソフト検証・クラウド決済・AIカメラ

出典:イノテック 公式IR・2026年3月期決算・ログミー説明会。

② 強み・濠(moat)

強みは、半導体の『検査・設計・組込み』を横断して持つ複合事業の幅と、買収で築いた自社製品の収益基盤にある。商社時代の顧客接点を土台に、装置・ソフト・サービスを組み合わせて提案できる点が他社と異なる。

イノテックの濠を分解する
  • 幅:半導体の検査・設計・組込みを1社で横断できる複合事業
  • 安定収益:EDA設計ソフトはライセンス制で売上が読みやすい(創業来の主力)
  • 自社製品化:商社から買収(台STAr・モーデック・ガイオ等)で製品メーカーへ転換
  • コスト訴求の検査装置:必要最小限の機能で安価なテスターを作り、顧客のトータル検査コストを下げる戦略(社長コメント)

同社IR・ログミー説明会をもとに整理(質的)。

テストソリューション事業 売上(2026年3月期)
184.6億円
前期比 +23.2%3事業の中で最も伸び、増益を牽引した。

出典:イノテック 2026年3月期決算。半導体検査の需要回復が牽引。

③ 置かれている状況

追い風は半導体の検査・設計需要。2026年3月期はテストソリューション事業の改善と半導体設計関連の堅調さで増収増益となった。一方、検査装置は半導体メーカーの設備投資サイクルに左右され、市況の波を受けやすい。

追い風と逆風の整理
  • 追い風:半導体の検査需要回復テスター売上↑
  • 追い風:設計ソフトの安定需要ライセンス収益
  • 追い風:車載ソフト・決済の成長サービス拡大
  • 逆風:半導体の設備投資サイクル受注変動
  • 逆風:特定顧客への依存発注動向に左右

論点の見取り図(質的整理)。投資判断ではない。出典:イノテック IR・報道。

④ 業績の見方

2026年3月期は売上467.4億円(前期比+11.3%)、営業利益31.1億円(同+64.7%)。営業利益率は約6.7%へ改善した。なお純利益41.1億円(同+242.6%)は固定資産売却益29.1億円という一時的な特別利益を含むため、本業の実力は営業利益で見るのが妥当。

売上高(FY2026/3実績 → FY2027/3会社予想)
FY2026/3 実績
467.4億円
FY2027/3 予想
500億円

出典:イノテック 2026年3月期決算。FY2027は会社予想(+7.0%)。

営業利益(FY2026/3実績 → FY2027/3会社予想)
FY2026/3 実績
31.1億円
FY2027/3 予想
37億円

出典:イノテック 2026年3月期決算。営業利益率は実績約6.7%。FY2027は会社予想(+19.0%)。

純利益(2026年3月期)
41.1億円
前期比 +242.6%増加分の多くは一時的な特別利益。本業は営業利益で見る。

出典:イノテック 2026年3月期決算。固定資産売却益29.1億円(特別利益)を含む点に注意。

年間配当(1株・2026年3月期)
125
前期70円から増配特別配当を含む。次期は130円予想。

出典:イノテック 2026年3月期決算。期末に特別配当50円を含む。FY2027予想は130円。

この会社で見る3つの数字
  • ① テストソリューションの売上:半導体検査需要を映す本業の柱
  • ② 営業利益(率):特別利益を除いた本業の実力。FY2026/3は約6.7%
  • ③ 自社製品比率:商社からメーカーへの転換の進み具合

企業を読むためのフレーム(質的整理)。

⑤ リスク

最大の論点は、半導体の設備投資サイクルに業績が左右される点。検査装置は顧客の投資意欲が冷えると受注が細りやすい。

主なリスクの整理
  • 市況依存:半導体メーカーの設備投資サイクルで検査装置の受注が変動しやすい
  • 顧客依存:キオクシアが最大の納入先と社長が言及(ログミー報道)。比率は非開示だが大口顧客の発注動向に左右されうる
  • 一時的利益の反動:2026年3月期の純利益急増は固定資産売却益(特別利益)を含み、来期は剥落する
  • 事業の幅ゆえの複雑さ:性格の異なる3事業を抱え、どこかの不調が全体に波及しうる
  • 為替:海外取引があり、円高は逆風になりうる(影響度の詳細は非開示)

リスク論点の見取り図(質的整理)。出典:イノテック IR・報道。

参考文献

※ 本ページは個人の分析・意見・思考プロセスの共有であり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。 数値は公開情報に基づき作成していますが、正確性を保証するものではなく、投資の最終判断はご自身の責任でお願いします。

公開日 2026年6月19日(一次情報=決算短信・決算説明会等に基づく)