不二越は、工具・工作機械・産業用ロボット・ベアリング・油圧機器・特殊鋼までを手がける総合機械メーカー。2025年11月期は売上高2,359億円(前期比-1.7%)ながら、構造改革で営業利益は97.7億円(同+47.3%)へ回復した。
パッと見でわかる
工具・工作機械・産業用ロボット・ベアリング・油圧機器・特殊鋼までを手がける総合機械メーカー(1928年創業)。
売上高 FY2025(11月期)
2,359億円
前期比 -1.7%
営業利益
97.7億円
+47.3%
営業利益率
4.1%
部品事業
約62%
外部売上構成
- 利益構造
- 部品事業が外部売上の約62%で柱。構造改革で営業利益が前期比+47.3%へ回復した。
- なぜ今
- 自動化・ロボット・省人化に伴う部品・FA需要。
① どんな会社か
素材から機械まで自社で一貫してつくる総合機械メーカー。1928年に富山で創業し、輸入に頼っていた機械工具の国産化を目指したのが始まり。「ものづくりは良い材料から」を掲げ、特殊鋼を内製するところから工具・装置までを手がけるのが特徴で、本社は現在は東京。NACHIブランドで知られる。
報告セグメントは「機械工具事業(工具・工作機械・産業用ロボット)」「部品事業(ベアリング・油圧機器・カーハイドロリクス)」「その他の事業(特殊鋼ほか)」の3つ。連結売上の約62%を部品事業が占め、機械工具事業が約31%、その他が約6%という構成になっている。
- 部品事業(ベアリング・油圧)63%
- 機械工具事業(工具・工作機械・ロボット)31%
- その他(特殊鋼ほか)6%
出所:不二越 2025年11月期 決算短信 セグメント情報。連結売上高2,359億円。
主な売り先は自動車・建設機械・産業機械の各メーカー。海外売上比率は約51%(同社開示・FY2025)で、半分を海外で稼ぐ構造になっている。なお個別の顧客名・顧客別依存度は同社が開示していない。
② 強み・濠(moat)
強みは「素材から機械までを一社でそろえる内製の幅広さ」。特殊鋼(マテリアル)を自前でつくり、それを使った工具・ベアリング・工作機械・産業用ロボットまでを手がける垂直統合型のものづくりが土台になっている。
- 特殊鋼の内製から工具・部品・装置までを自社で一貫生産する垂直統合体制
- 工具・工作機械・産業用ロボットを一社でそろえる「機械工具」群
- 1928年創業、機械工具の国産化を進めてきた歴史と国内外の生産拠点
- 連結従業員6,532人・海外売上比率 約51%(同社開示・FY2025)
出所:不二越 公式(会社概要・決算短信)。
③ 置かれている状況
FY2025(2025年11月期)は、需要の弱さと構造改革の効果が同時に出た年だった。中国でのロボット需要減や国内の油圧機器需要減で売上は微減となったが、固定費削減・調達コストダウンが効き、利益は大きく改善した。
- 【追い風】
- 北米で工具需要が増加
- 自動車向けカーハイドロリクスの需要回復
- 構造改革による固定費・販管費の削減
- 工具の操業度改善
- 【逆風】
- 中国での産業用ロボット需要が減少
- 国内の生産調整で油圧機器需要が減少
- 特殊鋼(その他事業)の需要減・操業度悪化
- 売上高は前期比-1.7%の微減
出所:不二越 2025年11月期 決算短信(経営成績の概況)。
経営面では、2026年2月にロボット事業出身の中村成利氏が社長に就任した。会社はロボットを事業成長の中核に据える方針を表明している。2026年7月の中間決算後、FY2026(2026年11月期)の会社予想は売上高2,550億円(前期比+8.1%)・営業利益153億円(同+56.6%)へ上方修正された。
④ 業績の見方
直近の2027年3月期第1四半期は、売上高555.1億円(前年同期比+13.1%)、営業利益40.8億円(同+28.9%)、親会社帰属利益27.8億円(同+40.9%)、受注高861.0億円(同+46.5%)でした。生成AI・データセンター向け半導体投資を受けてマテリアルプロセシングが増収増益、FAも伸びた一方、エネルギーマネジメントは前年の大型案件の反動で減収減益でした。通期予想は売上2,800億円・営業利益250億円で据え置かれています。
直近の2026年11月期中間期は、売上高1,248億円(前年同期比+7.7%)、営業利益67.7億円(同+60.7%)、純利益34.0億円(同+81.0%)だった。建設機械向け部品などの需要回復に加え、固定費削減・価格転嫁・合理化が利益を押し上げた。会社は通期予想を上方修正し、年間配当予想も100円から110円へ引き上げた。
見るべきは「売上は微減でも利益が伸びる」構造改革の進み具合と、セグメント別の利益のつくられ方。FY2025は部品事業の営業利益が前期比+200.3%(49.98億円)と大きく改善し、全社の利益回復をけん引した。
出所:不二越 決算短信。FY2026は会社予想(2026年11月期)。
出所:不二越 決算短信。FY2025営業利益率4.1%。FY2026は2026年7月14日修正後の会社予想。
- 部品事業50(51%)
- 機械工具事業43(44%)
- その他5(5%)
出所:不二越 2025年11月期 決算短信 セグメント情報。報告セグメント利益の合計97.6億円(調整前95.9億円+調整0.1億円)が連結営業利益97.7億円に対応。
あわせて、利益率と株主還元も見ておきたい。FY2025の営業利益率は4.1%、配当は年100円(配当性向42.8%)。会社は政策保有株の縮減や設備・人員の適正化といった構造改革を継続しており、その費用と効果のバランスが利益の振れ方に出やすい。
⑤ リスク
自動車・建設機械・産業機械の設備投資に業績が連動しやすく、中国を中心とした需要変動の影響を受ける点に注意が必要。
- 中国の産業用ロボット・工作機械需要の変動
- 自動車・建設機械メーカーの設備投資・生産調整の影響
- 特殊鋼など素材コスト・原材料価格の変動
- 海外売上比率が約51%のため為替変動の影響(FY2026前提は1ドル145円)
- 構造改革費用の発生(FY2025は構造改革費用31.18億円を特別損失に計上)
出所:不二越 2025年11月期 決算短信の記述を整理。
参考文献
公開日 2026年8月9日(一次情報=決算短信・決算説明会等に基づく)