フェローテック6890

フェローテックを理解する

半導体装置の内側を、支える部品会社。

真空を守る。高温や薬品に耐える。汚れた装置部品を洗って再生する。まず、この3役を押さえれば分かります。

半導体クリーンルームで装置を操作する技術者
半導体クリーンルームのイメージ写真 Photo: L N / Unsplash
株式会社フェローテック旧:フェローテックホールディングス/2025年7月に商号変更

更新 2026年8月5日

フェローテックは、半導体製造装置に組み込まれる部品と、使った部品を洗浄・再生するサービスをまとめて供給する会社です。

半導体そのものをつくる会社ではありません。装置をつくる時と、完成した工場を動かし続ける時の両方で売上が立ちます。

01真空を守る真空シール

02熱・薬品に耐える石英・セラミックス

03洗って再生する装置部品洗浄

01 何で稼ぐか

売上の主役と、利益率の主役は違う。

2026年3月期のセグメントを、売上構成と営業利益率の二軸で見ます。

64.1%装置関連
売上の中心は半導体等装置関連

全社売上2,889億円のうち1,851億円。真空シール、金属加工、石英、セラミックス、洗浄が中核です。

  • 装置関連 64.1%
  • 電子デバイス 19.9%
  • 車載 10.1%
  • その他 5.9%
一方、利益率の頂点は18.2%

電子デバイス

売上構成は19.9%ですが、サーモモジュールとパワー半導体用基板が高い利益率をつくります。売上の大きさだけでは、この会社の稼ぐ力を読み違えます。

セグメント売上高 / 構成比営業利益利益率
半導体等装置関連
1,851億円 / 64.1%
160億円営業利益率8.7%
電子デバイス
576億円 / 19.9%
105億円営業利益率18.2%
車載関連
292億円 / 10.1%
27億円営業利益率9.2%
その他
170億円 / 5.9%
▲3億円営業利益率赤字

※セグメント利益合計と全社営業利益の差は調整額です。製品別利益は非開示のため、石英と真空シールのどちらが高採算か、といった断定はできません。

製品を理解する

結局、この3つを提供する。

装置関連の主力を、役割が重なる3群にまとめます。公式写真は用途の確認に必要な範囲で引用しています。

フェローテックの真空シール製品3種
01 真空を保つ

真空シール

箱にすき間をつくらず、外のモーターの回転だけを中へ伝える部品。

外のモーターの回転だけを真空の処理室へ伝えます。装置を新しくつくる時に必要な部品です。

売上は金属受託加工と合算で492.18億円。会社は世界シェア首位と説明していますが、現在の比率は開示していません。引用:フェローテック「真空シール」(2026年8月5日閲覧・無加工)
透明な石英チューブと石英ボート石英
リングや円板などのファインセラミックス製品セラミックス
02 高温・薬品に耐える

石英・セラミックス

ウエハーの近くで使う、熱と薬品に強い交換部品。

筒、受け皿、輪などへ精密加工します。工場が動くほど傷み、交換需要が生まれる製品群です。

2026年3月期売上は石英343.76億円、セラミックス406.62億円。合計750.38億円です。引用:フェローテック「石英製品」・「ファインセラミックス」(2026年8月5日閲覧・無加工)
装置部品の表面を再生するプラズマ溶射設備
03 洗って再利用する

装置部品洗浄

汚れた装置部品を預かり、再び使える状態にして返すサービス。

こびりついた膜を落とし、必要なら表面を整え、検査して返却します。工場稼働に連動する保守の仕事です。

2026年3月期売上186.03億円。写真は、洗浄後に表面を整える設備です。引用:フェローテック「装置部品洗浄」(2026年8月5日閲覧・無加工)
02 どこで伸ばすか

一社の中に、3つの需要がある。

主力3群は、装置投資・工場稼働・電力変換という別々の需要で動きます。

装置投資で動くイーグル工業、リガク系など

真空シールと金属加工。装置メーカーの受注や工場新設が先行します。

工場稼働で動く東ソー・クォーツ、京セラなど

石英・セラミックス・洗浄。既存工場の稼働率や交換・保守の量が効きます。

電力変換で動くロジャース、京セラなど

サーモモジュールとパワー半導体用基板。AI光通信、EV、産業電源の需要が関わります。

フェローテックの特徴は、一つの製品で独占することではなく、装置の内側に必要な材料・加工・洗浄を横に並べられることです。
中国と中国外生産

中国が大きい。同時に、中国外も増やす。

中国の売上は大きいままです。その一方で、欧米顧客の要請を受けて中国外の工場も増やしています。

2026年3月期の中国売上比率は56%。

会社所在地ベースの集計です。22/3期45%から25/3期60%まで上がった後、26/3期は56%でした。

22/3期45%
23/3期50%
24/3期55%
25/3期60%
26/3期56%

26/3期は中国1,613億円、中国以外1,276億円。中国内の増産を続けながら、欧米顧客向けにマレーシア第2工場へ約333億円を投じます。

※上の売上額と比率はフェローテック公式「地域別売上高(連結)」から当サイト計算。端数処理により合計が一致しない場合があります。マレーシア第2工場は石英・セラミックス・金属加工を生産し、2026年内の稼働開始見通しです。

2026年3月期の設備投資546億円

営業キャッシュフロー293億円に対し、投資キャッシュフローは▲669億円。投資が現金創出を大きく上回りました。

→
2026年3月期〜2027年12月期の計画1,746億円

中国とマレーシアの両方で増産。新工場の稼働率と減価償却の吸収が、次の焦点です。

03 何を追うか

決算で追う、4項目。

売上高だけでなく、利益率・現金・新工場の稼働まで見ると変化を追いやすくなります。

  1. 01
    半導体等装置関連の利益率売上増が8.7%の利益率改善へつながるか
  2. 02
    電子デバイスの18.2%AI光通信用サーモとパワー基板の採算
  3. 03
    営業キャッシュフロー設備投資を上回る現金を生めるか
  4. 04
    中国・マレーシアの立ち上がり地域集中と新工場の稼働遅れを確認
3分で説明するなら

半導体製造装置の内側を、部品と洗浄で支える会社です。

売上の中心は装置関連。利益率の主役は電子デバイス。巨額投資が現金を生むまでを追います。

出典・参考資料
画像の利用方針

トップ写真はUnsplash Licenseに基づき使用しています。製品写真4点は装飾ではなく、各製品の形状・用途を具体的に検討する本文に隣接させ、引用部分を明確に区別し、必要最小限・無加工で掲載しています。各写真には「引用」、出所、閲覧日を表示しています。これはフェローテックから転載許諾を得たことを意味するものではありません。

本記事は公開情報に基づく企業理解のための資料であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。数値は原則として会社開示資料を使用し、構成比・利益率の一部は当サイトで計算しています。