比較の結論
3社は、事業構成が異なる
01|売上構造と利益構造
円グラフで比べる、3社の事業構造
2026年3月期実績。会社名で切り替え、左に売上、右に利益を示します。
日立製作所6501
- DSS
- エナジー
- モビリティ
- CI
- その他
成長率・FDE戦略を見る
IT・電力・鉄道・産業機器を持つ複合型。FDEは「Physical AI」が軸です。
売上は外部顧客向け。利益は調整後EBITA。全社・消去△531億円を円グラフから除外。
DSSの利益率は高い一方、FY2025の利益はエナジーも約3割を占めました。足元の株価を考えるときは、FDEだけでなく電力網投資の受注・採算を同時に見る必要があります。
国内FDEは2026年度末1,000人、海外350人を目指し、国内5,000人の中長期目標も提示。GlobalLogicのデジタル人材と、日立が持つOT・製品知識を組み合わせます。AnthropicとのFrontier AI Deployment Center、Google Cloud、NVIDIAとの協業も進めています。
- DSSとLumadaの利益率
- エナジーの受注残と採算
- FDEの再利用資産・継続課金への転換
NEC6701
- ITサービス
- 社会インフラ
- その他
成長率・FDE戦略を見る
売上の約76%、利益の約86%がITサービス。FDEの成果が全社利益へ届きやすい構造です。
利益はNon-GAAP営業利益。調整額△202億円を円グラフから除外。
ITサービスの集中度が高く、FDEの成功が利益率へ直結します。一方でQ1は航空宇宙・防衛を含む社会インフラも大きく伸びました。AIだけで業績を説明しないことが大切です。
Anthropicとの協業でClaudeをグループ約3万人へ展開。2026年10月予定のNECソリューションイノベータ吸収合併で、1万人超のIT人材を本体へ集約します。FDEの人数目標は未公表です。
- BluStellar売上と利益率
- ITサービスのNon-GAAP利益率
- 航空宇宙・防衛の受注とCSG統合
富士通6702
- サービス
- ハードウェア
- ユビキタス
成長率・FDE戦略を見る
利益の約77%がサービス。Uvanceとモダナイゼーションの進捗が焦点です。
利益は調整後営業利益。全社・消去△767億円を円グラフから除外。
売上はハードウェアも3割近くありますが、利益はサービスへ寄っています。FDEを見るなら人数ではなく、Uvance受注、モダナイゼーション売上、サービス利益率の3点が先行指標です。
Palantirとの協業でFDEの型を先行導入し、2026年にはAnthropic、OpenAIとの協業を発表。FDEとコンサルタントを初日から一体にするFDE+Cを掲げ、製造・医療・重要インフラへ展開します。
- Uvanceの売上・受注
- サービスソリューション利益率
- モダナイゼーション売上と人月依存の低下
02–05|詳しい分析FDE・指標比較・投資の見方・リスク内容をまとめて開く
02|FDEで何が変わるか
FDEは、利益の作り方を変える
従来のSIは仕様と工数が売上の基礎でした。FDEは課題定義から実装・運用まで入り、知見を再利用できるサービスへ変えます。見るべきなのは人数ではなく、サービス利益率、受注、再利用売上、1人当たり利益です。
03|3社の指標比較
まず、同じ物差しで並べる
| 会社 | 時価総額 | FY2025売上 | 通期売上成長 | Q1売上成長 | Q1本業利益成長 | FY2026売上予想 | 実績PER | 予想PER | 実績PBR | 予想配当利回り | ネットキャッシュ | ネットキャッシュ比率 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 日立 | 24.6兆円 | 10.5兆円 | +8.2% | +20.0% | +39.5% | +11.0% | 30.7倍 | 27.0倍 | 3.7倍 | 1.0% | +4,475億円 | +1.8% |
| NEC | 6.4兆円 | 3.5兆円 | +4.7% | +14.5% | +86.9% | △1.2% | 23.3倍 | 21.7倍 | 2.8倍 | 0.8% | △1,567億円 | △2.4% |
| 富士通 | 6.5兆円 | 3.5兆円 | △1.3% | +3.9% | +56.4% | +0.2% | 14.7倍 | 20.6倍 | 3.2倍 | 1.5% | +4,642億円 | +7.1% |
指標の計算条件を見る
※ 本業利益は日立・富士通が調整後営業利益、NECがNon-GAAP営業利益です。
※ 実績PERは終値÷FY2025のGAAP基本EPS、予想PERは終値÷FY2026会社予想のGAAP基本EPSです。株価指標は2026年8月27日終値基準です。
※ ネットキャッシュは2026年6月末の現金及び現金同等物−各社開示の有利子負債・有利子ローン。ネットキャッシュ比率はネットキャッシュ÷時価総額です。
※ 時価総額と兆円表示の売上は、小数第2位以下を切り捨てて小数第1位まで表示。その他の比率は表示桁に丸めました。
実績PERは日立30.7倍、NEC23.3倍、富士通14.7倍で、予想PERは20.6〜27.0倍です。ネットキャッシュ比率は日立+1.8%、NEC△2.4%、富士通+7.1%。日立は電力インフラ、NECは国内ITと防衛、富士通はサービス利益率と、異なる事業要因が全社業績を動かします。
04|投資先としての見方
3社の違いを、投資判断へ活かす
FDEの伸びだけで選ばない。AI実装と電力網投資を二軸で見ます。
利益率の転換を追う。売上横ばいでも利益を伸ばせるかが焦点です。
受注から利益への橋を見る。サービス利益率への接続を確認します。
同じFDEでも、業績へ届く経路は違う。日立はインフラ受注、NECはIT利益率、富士通はサービス受注との接続で見る。
05|確認しておきたいリスク
見落としやすい4つのリスク
呼び名だけなら、単価も生産性も変わりません。
価値課金へ移れないまま開発時間だけ短くなると、人月売上は減ります。
業務知識とAI実装を持つ人材は、外資AI企業とも競合します。
電力、防衛、ハードウェアも全社数字を動かします。
まとめ
利益の出どころを、先に見る
同じAI実装のニュースでも、3社の収益構造はかなり違います。日立は社会インフラのPhysical AI、NECは国内ITの利益率改善、富士通は業種横断の事業変革サービス群「Uvance」と、既存システムを刷新するモダナイゼーションです。
次の四半期では、日立のインフラ受注、NECのIT利益率、富士通のサービス受注と、FDEがそれぞれの利益源へどう接続するかを見ます。
一次情報出典・計算方法を見る(18件)
- 日本経済新聞|FDE拡充に関する報道↗
- 日立|FY2025連結決算↗
- 日立|FY2026 Q1決算説明資料↗
- 日立|デジタルシステム&サービス事業戦略↗
- 日立|Anthropicとの戦略的提携↗
- NEC|FY2025決算説明資料↗
- NEC|FY2026 Q1決算説明資料↗
- NEC|Anthropicとの戦略的協業↗
- 富士通|FY2026 Q1決算資料↗
- 富士通|FY2025連結決算↗
- 富士通|Anthropicとの戦略的提携↗
- 富士通|OpenAIとの協業↗
- 日立|株主還元↗
- NEC|FY2025決算短信・FY2026配当予想↗
- 富士通|FY2026配当予想↗
- Yahoo!ファイナンス|日立 株価時系列↗
- Yahoo!ファイナンス|NEC 株価時系列↗
- Yahoo!ファイナンス|富士通 株価時系列↗
業績・セグメントは各社の2026年3月期通期資料と2026年4〜6月期資料。株価は2026年8月27日の東証終値です。実績PERは終値÷FY2025のGAAP基本EPS、予想PERは終値÷FY2026会社予想のGAAP基本EPS。ネットキャッシュは2026年6月末の現金及び現金同等物−各社開示の有利子負債・有利子ローンで、比率は時価総額で割りました。時価総額と兆円表示の売上は小数第2位以下を切り捨て、その他は表示桁に丸めています。
本記事は公開情報をもとにした学習目的の整理です。特定の金融商品の購入・売却を推奨するものではありません。将来予想は各社が公表した時点の前提を含み、実際の結果と異なる可能性があります。