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FDEで読むIT大手3社

日立・NEC・富士通を、利益の出どころと財務から比べます。

参考にした日経記事 ↗

比較の結論

3社は、事業構成が異なる

日立社会インフラ
NEC国内IT・防衛
富士通サービス変革

01|売上構造と利益構造

円グラフで比べる、3社の事業構造

2026年3月期実績。会社名で切り替え、左に売上、右に利益を示します。

日立製作所6501

FDEを、ITだけでなく社会インフラの現場へ広げる
  • DSS
  • エナジー
  • モビリティ
  • CI
  • その他
2026年6月末現金 1.50兆円−有利子負債 1.05兆円≒ネットキャッシュ +0.44兆円時価総額比 +1.8%
実績PER(FY25)30.7倍FY2025実績EPS
予想PER(FY26)27.0倍FY2026会社予想EPS
実績PBR3.7倍6月末純資産基準
時価総額24.6兆円8月27日終値基準
予想配当利回り1.0%年間配当55円
成長率・FDE戦略を見る

IT・電力・鉄道・産業機器を持つ複合型。FDEは「Physical AI」が軸です。

売上は外部顧客向け。利益は調整後EBITA。全社・消去△531億円を円グラフから除外。

構造の読み方

DSSの利益率は高い一方、FY2025の利益はエナジーも約3割を占めました。足元の株価を考えるときは、FDEだけでなく電力網投資の受注・採算を同時に見る必要があります。

Q1売上成長+20.0%2兆7,096億円
Q1調整後営業益+39.5%2,943億円
FY26会社予想+11.0%売上11.7兆円
FDE戦略

国内FDEは2026年度末1,000人、海外350人を目指し、国内5,000人の中長期目標も提示。GlobalLogicのデジタル人材と、日立が持つOT・製品知識を組み合わせます。AnthropicとのFrontier AI Deployment Center、Google Cloud、NVIDIAとの協業も進めています。

成否を測る一行人員数より、Physical AIがHMAXやLumadaの継続収益へ変わるか
次の決算で見る数字
  • DSSとLumadaの利益率
  • エナジーの受注残と採算
  • FDEの再利用資産・継続課金への転換

NEC6701

国内ITの厚みを、BluStellarの価値課金へ移す
  • ITサービス
  • 社会インフラ
  • その他
2026年6月末現金 0.43兆円−有利子負債 0.59兆円≒ネットキャッシュ △0.15兆円時価総額比 △2.4%
実績PER(FY25)23.3倍FY2025実績EPS
予想PER(FY26)21.7倍FY2026会社予想EPS
実績PBR2.8倍6月末純資産基準
時価総額6.4兆円8月27日終値基準
予想配当利回り0.8%年間配当40円
成長率・FDE戦略を見る

売上の約76%、利益の約86%がITサービス。FDEの成果が全社利益へ届きやすい構造です。

利益はNon-GAAP営業利益。調整額△202億円を円グラフから除外。

構造の読み方

ITサービスの集中度が高く、FDEの成功が利益率へ直結します。一方でQ1は航空宇宙・防衛を含む社会インフラも大きく伸びました。AIだけで業績を説明しないことが大切です。

Q1売上成長+14.5%8,198億円
Q1 Non-GAAP営業益+86.9%747億円
FY26会社予想△1.2%売上3.54兆円
FDE戦略

Anthropicとの協業でClaudeをグループ約3万人へ展開。2026年10月予定のNECソリューションイノベータ吸収合併で、1万人超のIT人材を本体へ集約します。FDEの人数目標は未公表です。

成否を測る一行BluStellarの売上・利益率が、既存の人月型売上を上回って伸びるか
次の決算で見る数字
  • BluStellar売上と利益率
  • ITサービスのNon-GAAP利益率
  • 航空宇宙・防衛の受注とCSG統合

富士通6702

サービス利益の集中度が高く、脱・人月の進捗を測りやすい
  • サービス
  • ハードウェア
  • ユビキタス
2026年6月末現金 0.59兆円−有利子負債 0.13兆円≒ネットキャッシュ +0.46兆円時価総額比 +7.1%
実績PER(FY25)14.7倍FY2025実績EPS
予想PER(FY26)20.6倍FY2026会社予想EPS
実績PBR3.2倍6月末純資産基準
時価総額6.5兆円8月27日終値基準
予想配当利回り1.5%年間配当55円
成長率・FDE戦略を見る

利益の約77%がサービス。Uvanceとモダナイゼーションの進捗が焦点です。

利益は調整後営業利益。全社・消去△767億円を円グラフから除外。

構造の読み方

売上はハードウェアも3割近くありますが、利益はサービスへ寄っています。FDEを見るなら人数ではなく、Uvance受注、モダナイゼーション売上、サービス利益率の3点が先行指標です。

Q1売上成長+3.9%7,794億円
Q1調整後営業益+56.4%549億円
FY26会社予想+0.2%売上3.51兆円
FDE戦略

Palantirとの協業でFDEの型を先行導入し、2026年にはAnthropic、OpenAIとの協業を発表。FDEとコンサルタントを初日から一体にするFDE+Cを掲げ、製造・医療・重要インフラへ展開します。

成否を測る一行Uvance受注の伸びが、サービスソリューションの17%台の利益率へつながるか
次の決算で見る数字
  • Uvanceの売上・受注
  • サービスソリューション利益率
  • モダナイゼーション売上と人月依存の低下
02–05|詳しい分析FDE・指標比較・投資の見方・リスク内容をまとめて開く

02|FDEで何が変わるか

FDEは、利益の作り方を変える

01顧客課題を定義
02現場で仮説検証
03AIを実装・運用
04知見を資産化
05横展開・継続収益

従来のSIは仕様と工数が売上の基礎でした。FDEは課題定義から実装・運用まで入り、知見を再利用できるサービスへ変えます。見るべきなのは人数ではなく、サービス利益率、受注、再利用売上、1人当たり利益です。

03|3社の指標比較

まず、同じ物差しで並べる

会社時価総額FY2025売上通期売上成長Q1売上成長Q1本業利益成長FY2026売上予想実績PER予想PER実績PBR予想配当利回りネットキャッシュネットキャッシュ比率
日立24.6兆円10.5兆円+8.2%+20.0%+39.5%+11.0%30.7倍27.0倍3.7倍1.0%+4,475億円+1.8%
NEC6.4兆円3.5兆円+4.7%+14.5%+86.9%△1.2%23.3倍21.7倍2.8倍0.8%△1,567億円△2.4%
富士通6.5兆円3.5兆円△1.3%+3.9%+56.4%+0.2%14.7倍20.6倍3.2倍1.5%+4,642億円+7.1%
指標の計算条件を見る

※ 本業利益は日立・富士通が調整後営業利益、NECがNon-GAAP営業利益です。

※ 実績PERは終値÷FY2025のGAAP基本EPS、予想PERは終値÷FY2026会社予想のGAAP基本EPSです。株価指標は2026年8月27日終値基準です。

※ ネットキャッシュは2026年6月末の現金及び現金同等物−各社開示の有利子負債・有利子ローン。ネットキャッシュ比率はネットキャッシュ÷時価総額です。

※ 時価総額と兆円表示の売上は、小数第2位以下を切り捨てて小数第1位まで表示。その他の比率は表示桁に丸めました。

倍率と財務余力の読み方

実績PERは日立30.7倍、NEC23.3倍、富士通14.7倍で、予想PERは20.6〜27.0倍です。ネットキャッシュ比率は日立+1.8%、NEC△2.4%、富士通+7.1%。日立は電力インフラ、NECは国内ITと防衛、富士通はサービス利益率と、異なる事業要因が全社業績を動かします。

04|投資先としての見方

3社の違いを、投資判断へ活かす

日立

FDEの伸びだけで選ばない。AI実装と電力網投資を二軸で見ます。

NEC

利益率の転換を追う。売上横ばいでも利益を伸ばせるかが焦点です。

富士通

受注から利益への橋を見る。サービス利益率への接続を確認します。

同じFDEでも、業績へ届く経路は違う。日立はインフラ受注、NECはIT利益率、富士通はサービス受注との接続で見る。

05|確認しておきたいリスク

見落としやすい4つのリスク

01看板だけFDE

呼び名だけなら、単価も生産性も変わりません。

02工数減少の逆風

価値課金へ移れないまま開発時間だけ短くなると、人月売上は減ります。

03人材獲得競争

業務知識とAI実装を持つ人材は、外資AI企業とも競合します。

04別事業の変動

電力、防衛、ハードウェアも全社数字を動かします。

まとめ

利益の出どころを、先に見る

同じAI実装のニュースでも、3社の収益構造はかなり違います。日立は社会インフラのPhysical AI、NECは国内ITの利益率改善、富士通は業種横断の事業変革サービス群「Uvance」と、既存システムを刷新するモダナイゼーションです。

次の四半期では、日立のインフラ受注、NECのIT利益率、富士通のサービス受注と、FDEがそれぞれの利益源へどう接続するかを見ます。

一次情報出典・計算方法を見る(18件)
数値の作り方

業績・セグメントは各社の2026年3月期通期資料と2026年4〜6月期資料。株価は2026年8月27日の東証終値です。実績PERは終値÷FY2025のGAAP基本EPS、予想PERは終値÷FY2026会社予想のGAAP基本EPS。ネットキャッシュは2026年6月末の現金及び現金同等物−各社開示の有利子負債・有利子ローンで、比率は時価総額で割りました。時価総額と兆円表示の売上は小数第2位以下を切り捨て、その他は表示桁に丸めています。

本記事は公開情報をもとにした学習目的の整理です。特定の金融商品の購入・売却を推奨するものではありません。将来予想は各社が公表した時点の前提を含み、実際の結果と異なる可能性があります。