日本の光インフラ3社

同じ「光」でも、
利益の取り方が違う

フジクラ・古河電工・住友電工。AIデータセンターのどこで稼ぎ、何が違うのかを、最新決算と製品別の世界ポジションで比較します。

更新 2026年8月20日株価指標 2026年8月20日終値
AI半導体
光源接続ケーブル施設間
光をつくる束ねてつなぐ遠くへ運ぶ

結論 光への業績感応度はフジクラ、取れる部品の広さは古河電工、材料からチップまでの供給網と事業分散は住友電工が際立ちます。

01 3社の違い

3社は、同じレースを走っていない

時価総額・予想PER(株価が予想利益の何倍か)は2026年8月20日終値基準。予想EPS(1株利益)は会社予想ベースです。

横にスワイプして3社を比較

5803光需要が全社利益に直結

フジクラ

細いケーブルに大量の光ファイバーを収め、接続・施工まで担います

光に近い報告セグメント情報通信

979.59億円 ÷ 全社1,048.28億円

時価総額
9.48兆円
予想PER
27.1倍
27/3期 1Q
全社営業利益率 26.1%

足元情報通信は売上+83.9%、営業利益+188.3%。3社の中で、光需要が全社利益へ最も強く表れています。

世界での証拠光ファイバー融着接続機で世界トップシェア。1万3,824本の光ファイバーを束ねた超多心ケーブルを、世界に先駆けて商用化しました。

見る数字高い期待を織り込む評価と、日米最大3,000億円の増産投資を利益へ変えられるか。

5801光+冷却まで製品が広い

古河電工

光ファイバーとケーブルに加え、光半導体やデータセンター冷却部品も扱います

光に近い報告セグメント光ソリューション+情報コンポーネント

165.55億円 ÷ 全社254.57億円

時価総額
2.73兆円
予想PER
25.9倍
27/3期 1Q
全社営業利益率 7.0%

足元光ソリューションと情報コンポーネントの合計営業利益は166億円。前年の29億円から急拡大。

世界での証拠長距離通信の光信号を強める装置(C+L帯デジタルコヒーレント通信システム向けファイバラマン増幅器)で世界シェア30%超。小型接続部品も世界トップクラスです。

見る数字増産・価格改定に加え、水冷の下期立ち上がりが全社利益率をどこまで押し上げるか。

5802材料からチップまで一気通貫

住友電工

光ファイバー、接続部品、レーザー、光半導体の基板まで自社で手がけます

光に近い報告セグメント情報通信

272.46億円 ÷ 全社970.59億円

時価総額
7.05兆円
予想PER
20.4倍
27/3期 1Q
全社営業利益率 7.3%

足元情報通信の営業利益は272億円と前年同期の3.4倍。全社では自動車などの比重が大きい構造です。

世界での証拠会社公表記事の掲載時点では、海底ケーブル用の極低損失光ファイバーで世界トップシェア。材料と部品の双方を内製しています。

見る数字2023年度から2028年度に接続部品7倍、光半導体12倍を目指す会社計画が、全社利益へどう表れるか。

円グラフの基準:各社の「光に近い報告セグメントの営業利益(調整前)÷ 連結営業利益(調整後)」を、2026年4〜6月期で単純計算しました。セグメント範囲は会社ごとに異なり、光以外の製品も含むため、会計上の利益構成比ではありません。全社利益に対する規模の目安です。

02 市場と世界での位置

市場は伸びる。ただし「世界シェア」は製品別に見る

光ファイバ、ケーブル、コネクタ、レーザーでは市場定義も競合も違います。

世界の光ファイバー部品市場

2025年推計366.9億ドル2030年予測586.5億ドル
年平均成長率 9.8% / MarketsandMarkets

比較可能な全社シェアは非開示

確認できるのは、
強い製品の“足跡”

  • フジクラ融着接続機世界トップシェア
  • 古河電工長距離通信の光信号を強める装置対象製品で世界30%超
  • 住友電工海底用極低損失ファイバー世界トップ(会社記事)

いずれも会社公表。対象製品と基準年が異なり、住友の会社記事は基準年非開示のため、数字を足したり順位化したりしません。

主要プレイヤー米国系中国系日本3社関係・勝負どころ
ファイバ・ケーブルCorningYOFC3社すべて高密度・低損失・施工性
コネクタ・接続US Conec(共同出資会社)現地光部品各社フジクラ / 古河 / 住友競争と共通規格づくりが併存
光源・光モジュールCoherent / LumentumInnolight / Eoptolink古河 / 住友部品供給と採用の関係も

代表例であり、競争相手と協業先の両方を含みます。US ConecはCorning・フジクラ・NTTアドバンステクノロジが株主の共同出資会社です。中国勢はAIデータセンター向けの光通信部品でも存在感があり、日本3社とは部品供給や共通規格づくりの関係にもなります。

03 今後の焦点

次の焦点は「需要」から「供給能力と利益率」へ

会社資料と機関投資家・アナリスト向け質疑から、今後の分岐を3つに絞りました。
01

通信速度は次の段階へ

通信規格は800Gから1.6T、3.2Tへ進み、1秒に運べるデータ量が増えます。サーバー同士を近距離でつなぐ部分(Scale-up)でも、電気配線から光配線へ移る可能性があります。CPO(演算半導体の近くに光部品を置く方式)は、その先の選択肢です。

02

不足の次は、増産の質

3社とも能力増強を急ぎます。受注量より、歩留まり(良品になる割合)・価格・品種構成が営業利益率へどう出るかが重要になります。

03

ケーブル以外へ利益が広がる

古河電工の通信用レーザーや冷却部品、住友電工のレーザー光源や光半導体材料、3社の小型接続部品など、ケーブル周辺へ利益源を広げられるかが焦点です。

決算で追う3つ

  1. 光に近いセグメントの営業利益率
  2. 増産後の数量・価格・品種構成
  3. 次世代通信や電気と光を組み合わせる製品の量産採用
市場拡大は3社共通。
どこまで光の利益が全社へ染み出すかが、違いを生みます。