以下、それぞれの根拠を一次情報つきで見ていきます。
正式名称は「日経エンタメ・コンテンツ株指数」(英文:Nikkei Japan Entertainment Content Stock Index)。日経平均と同じ日本経済新聞社が算出します。仕組みは「日本のエンタメ・コンテンツ産業の主力20社を、時価総額の大きい順に束ねた指数」と言い切ってよいと考えています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 算出・公表開始 | 2026年5月18日(発表は5月13日) |
| 基点 | 2013年11月29日=10,000として過去に遡って算出 |
| 構成銘柄数 | 原則 20銘柄 |
| 計算方法 | 時価総額加重・1銘柄の上限10%(キャップあり)・東証終値で1日1回 |
| 定期見直し | 年1回(10月最終営業日基準 → 11月最終営業日に入れ替え) |
| 足切り基準 | 時価総額200億円以上・1日平均売買代金5,000万円以上 |
| 派生指数 | 配当込みのトータルリターン版も算出(連動ETFはこちらに連動) |
出典:日本経済新聞社「算出要領」(2026年5月18日版)・公表開始リリース。
対象になるのは、日経NEEDS業種分類で主力事業が次の8業種に属する東証上場銘柄です。家庭用ゲーム機/玩具/出版(総合)/放送コンテンツ・映像制作/映画制作/音楽・ビデオソフト制作/家庭用ゲームソフト/オンラインゲーム・モバイルゲーム。主力事業が別でも、関連売上比率10%以上でシェアが高ければ対象に含め得ます。
「エンタメ・コンテンツ」と聞くとアニメ・音楽・映画が並ぶ姿を想像しますが、中身を開くと印象が変わります。算出開始時点の20銘柄を業種で数えると——
※銘柄数ベースの内訳(時価総額ウエートではありません)。出典:公表開始リリースの構成銘柄一覧をNEEDS小分類で集計。
| 分類 | 銘柄(証券コード) |
|---|---|
| ゲーム機・ソフト | 任天堂(7974)・ソニーグループ(6758)・カプコン(9697)・コナミグループ(9766)・スクウェア・エニックスHD(9684)・セガサミーHD(6460)・コーエーテクモHD(3635) |
| オンライン・モバイルゲーム | バンダイナムコHD(7832)・ネクソン(3659)・ディー・エヌ・エー(2432)・グリーHD(3632)・コロプラ(3668)・ガンホー(3765) |
| 映画 | 東宝(9602)・東映(9605)・松竹(9601) |
| 玩具・キャラクター | サンリオ(8136)・タカラトミー(7867) |
| 出版 | KADOKAWA(9468) |
| アニメ映像制作 | 東映アニメーション(4816) |
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個別の組入比率の最新値は、日経の指数公式ページにあるファクトシートで確認できます(本資料では転載しません)。ルール上は時価総額加重・上限10%なので、ソニーグループと任天堂が上限の10%近辺に張り付き、残りを18銘柄で分け合う構図になると見ています。
日経自身がリリースで挙げた背景は2つあります。1つは、政府がコンテンツ産業を重要政策分野に位置付けたこと。もう1つは、2025年に「エンタメ主要9社の時価総額合計が自動車主要9社を上回る局面」が見られたことです。日本の看板産業が自動車からエンタメへ——という象徴的な逆転が、指数化の直接のきっかけになっています。
出典:内閣府「新たなクールジャパン戦略」・経産省「エンタメ・クリエイティブ産業戦略」(2025年6月)・日経公表開始リリース。
遡及値ベースの実績はかなり良好です。基点(2013年11月末=10,000)から2026年6月10日の38,728まで約12.5年で約3.87倍(年率約11%)。日経のリリースに載るバックテストでも、基点を揃えた日経平均(トータルリターン)を上回って推移し、特に2020年以降に差が開いています。
ただし、直近の景色は別です。公式の日次データから暦年の騰落率を計算すると——
出典:日経 公式日次データCSVより計算(価格指数ベース)。2026年は年初来。
2026年1月6日の高値48,328から約2割の調整局面にあります。「指数化・ETF化はテーマの盛り上がりのピークで起きやすい」という一般論をそのままなぞるのか、調整を経て国策テーマとして続伸するのか。まさにこれから観察できる、生きた題材だと見ています。
個人投資家にとっての入口は、2026年6月9日に東証に上場したばかりの連動ETF「NEXT FUNDS 日経エンタメ・コンテンツ株指数連動型上場投信」(愛称:NF・日経エンタメETF)です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 銘柄コード | 586A(東証) |
| 上場日 | 2026年6月9日 |
| 運用会社 | 野村アセットマネジメント |
| 連動対象 | 日経エンタメ・コンテンツ株指数(配当込み・トータルリターン) |
| 信託報酬 | 年0.385%(税込)以内 |
| 売買単位 | 10口(上場時の基準値段199.8円 → 約2,000円から買える) |
| 分配金 | 年2回(4月7日・10月7日基準) |
| 純資産総額 | 約4.9億円(2026年6月10日時点)=まだ極小 |
出典:野村アセットマネジメント NEXT FUNDS 商品ページ・JPX新規上場承認リリース。
| NF・日経エンタメETF(586A) | グローバルX ゲーム&アニメ(2640) | |
|---|---|---|
| 連動指数 | 日経エンタメ・コンテンツ株指数(TR) | Solactive Japan Games & Animation Index |
| 上場日 | 2026年6月9日 | 2021年6月23日(日本初のゲーム・アニメ特化ETF) |
| 信託報酬(税込) | 0.385%以内 | 0.649% |
| 立ち位置 | 後発・低コスト・純資産はこれから | 先行・実績あり |
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国策テーマの追い風は本物ですが、「買い場かどうか」は別の問いです。冷静に読むための論点を並べておきます(投資判断ではありません)。
| 論点 | 中身 |
|---|---|
| ヒット依存 | ゲーム・映画はヒットの有無で業績が振れる。指数も2020年・2026年に大幅下落を経験 |
| 実質ゲーム指数 | 20銘柄中13がゲーム関連。「エンタメ全般に分散」のイメージと中身のギャップ。音楽は不在 |
| バリュエーション | 構成銘柄のPER・PBRは市場平均より高めとの検証あり。成長期待を織り込んだ水準 |
| キャップの副作用 | ソニーG・任天堂を10%で頭打ちにする分、成熟したモバイルゲーム企業の比重が相対的に上がる |
| ETFの流動性 | 586Aの純資産は約5億円弱。売買のしやすさはこれから |
| 為替 | 海外売上比率の高い銘柄が多く、円高はコンテンツ輸出の円換算価値を目減りさせる方向 |